小さな秋
「今日は9月9日でしょう?何て日じゃないけど、思い出すのよねぇ…」
と、おばあさん。
母が栗を炊いてくれたこと。
「”くがつくにち” だったから ”くり” って覚えちゃったのよ。」
そうして80年余り、くがつくにちのくりは、心に覚えられた。
おばあさんにも子供時代があって、きっとおばあさんのようなお母さんから愛情を受けた。
子どもに こうよ、ああよ と愛情を注ぐそれは、その人の人生の中に少なからず培う。80年も。
そしてその愛情は、また子どもへ孫へ繋がってゆく。
繋ぐことは、とても小さな日常にある。
日本の古き良き住文化も、小さな毎日の愛情でできているんじゃないだろうか。
私は住まいを考える時、どうしてもそこに見える愛情に惹かれてならない。