「残しとかやん」

伺ったお宅の襖に、何やら跡が残っていました。

随分前に、この辺の川が大雨で氾濫し、浸水してきた際の跡だそうです。  向かいにあった家が流されるような、大変な氾濫でした。

こういった事を見越してなのか、この家を建てる時にお祖父さんが「床を高めに作った」のだとか。このお宅はこれ位の床上浸水で収まりました。

お祖父さんが建てる時に募らせたいろんな想いでこの家があります。

襖くらい変えようよ と言う周りの意見に、お祖母さんは「よか、残しとかやん」とそのままに、今に至ります。

忘れてはいけない、教訓。

残しておけば、それは証となる。

襖に残った浸水の跡は、今もこうやってお孫さんが語り継いでいますよ。

   

 昔は、周りに建つ新しい家々に憧れて、古い家は好きではなかったはず。
だけど、裏の川で遊んだり、縁側を開け放して寝転がっていた思い出は、いつもこの家と共にあります。

鳥の声や川のせせらぎは、私をここから離してくれない。

今は、お祖母さんがやっていたように、毎日仏様に手を合わせたり、この家のことを考えています。

  
ご仏前には、若く明るいお花があげてあり、世代が受け継いだことを感じました(*^^*)

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