棟板
古民家を鑑定する上で、建築年月日などの情報を得る為の大きな手掛りになる棟板。
そこには、芸術作品の作者名が書かれているもののように、私には思えます。
現場にお邪魔すると、この棟板には、いろいろと深い意味が込められているんだということを学びます。
堂々と、棟梁や関わった職人さんの名前を残すことは、その技術への誇りある証。
責任。
そして、次の施工者へ託す想い。
またこの家の繁栄を願い、神に祈願。
棟板一枚が、この家の守り神になっているとも思える。
小屋裏の見えないところに掲げられて、時が来るのを待っている。
棟板を見て、込められた想いを感じないわけがない。
家を解く時、この職人さんの仕事が見える。
丁寧に切り込まれ、複雑な継手を見ると、私が大工だったら、負けないように気合いが入るだろう。
この職人さんと息を合わせようとするだろう。
どんな考えだったか探るだろう。
そうしている内に、スキルをあげて、
そうしている内に、この家に愛情が湧き、同じように願うだろう。
一枚の棟板のパワー。
日本人てホント、なんてドラマチックなんでしょうね。