松の子、杉の子
以前、鑑定させていただいたお宅の、門をくぐった所にいる、大きな松の木。
今はもう、枯れてしまっているけど、それはそれは立派であったろうことが、
立ち往生したこの姿でわかる。
緑はなくなってしまったけど、全部茶色になってしまったけど、
気高く、
その威厳は、尚も健在。
見上げると、無数の松ぼっくりが、最後の祈りを捧げた跡。
こんなにもたくさん、上の方に、上の方に集まって、遠くへ、希望を飛ばそうとした。
松の種には翼があるから、きっとどこかで根付いただろう。
今日、飛んできた種子が、此処に根を下ろしたのを見た。
1歳くらいの杉の子だそうだ。
赤ちゃんの肌がぷるぷるに輝いているように、
この木の葉っぱも、瑞々しくて艶やかに輝いていた。
人間と変わらない、生き物同士だと思った。
親が子を想うそれらと、変わらないんじゃないかと思った。
可愛い、愛しいと感じるそれらと、変わらないんじゃないかと思った。
けど、
自然は素直に生きているな。
一生懸命に生きているな。
だから、松の赤ちゃんがどこかで立派に育つといいな…と思う。