五月です!
この間の冬のことなんか誰も忘れているでしょう。
夏の暑さがもうそこまで近づいていますもの。
今日は、ジリジリと肌が焼けるのを感じました。
五月です。
暑さを耐えて、たどり着いた古民家。
戸を開けた時のひんやりと、エアコンのそれとはひとつ違う肌になじむ冷たさといいましょうか。
「ようこそ、おつかれさま。どうぞお入りなさい。」
家がそう言っています。
『家の作りようは夏をむねとすべし。』
吉田兼好は、「徒然草」で書いています。
基本的に古民家は、夏を快適に過ごすために様々な工夫が施されています。
・まず屋根で日光を遮り、深い庇は夏の日射を遮り、太陽高度が下がる冬は日差しを室内奥深くまで導きいれます。
・藁葺き屋根は、しみ込んだ雨がゆっくりと蒸発することで、熱を逃がす役割があります。
・外壁の白い壁は、日射を反射し、室内の温度上昇を防ぎます。また、土壁などの熱容量の大きな材料を用いることで、夜間に冷えて昼間の温度上昇を防ぎます。
・畳や土壁は、吸放質性に優れ、ほど良く調湿してくれます。
・家の周りに植栽や池を配置し、周辺の空気を冷やし、室内に取り込みます。
・夏には夏障子などをしつらえて風通しをさらによくしてくれます。
古民家を実測したデータでは、夏場は外気温より2~3度室内の方が低くなるそうですよ。
実際に、古民家にお住まいの方が必ず自慢するように仰ることでもあります。
夏は東南アジアなどと変わらないくらい暑く、冬の寒さは北欧並みの日本。
私たちの祖先は、過酷な土地で生きていくために様々な知恵を住まいに活かしてきました。
また、エネルギーをできるだけ使わずに材料を調達し、夏の暑さと冬の寒さに対応できる住宅を、その土地にあわせて作り出してきました。
先人達の快適に暮らす為の知恵は、現代の住宅にも十分活かして行けます。
古民家が持つエコな精神や省エネルギー技術や工夫は、環境の世紀といわれる21世紀に再度見直されることでしょう。